特集

2022年 第19回ショップスタッフディスプレイコンテスト(2022年秋~冬・新春)

大賞銀座マギーマギーマギー自由が丘メルサ店
優秀賞ドンク日本橋ジョアン店
コーディネート賞メーカーズシャツ鎌倉アキバ・トリム店
スペースバランス賞サザビーリーグアフタヌーンティ・リビング豊田T-FACE店
カラーハーモニー入賞エムズサンシンgrass roots MOMOテラス店
入賞イワキイワキメガネ広尾プラザ店
入賞銀座マギーOS Of STYLEウィング上大岡店
入賞クレインヴィーナスティアーズイオンモール直方店
入賞静岡デザイン専門学校購買部
入賞生活の木福山天満屋店
入賞田中興産Luxe armoire caprice新宿高島屋店
入賞壺屋総本店イオンモール旭川永山店
入賞ドレスメーカー学院購買部
入賞ホットマン富山大和店
入賞ワシントン靴店銀座ワシントン横浜ポルタ店
2022年 総評 MARDEN 椎野傳一氏
三年を超えるコロナ禍もようやく一段落が見え、新たなステージへと我々の環境も変化の時を迎えているように思います。 しかし終束というには尚早であり、コロナ以前の状況に完全に戻るということは難しいでしょう。
コロナ禍は専門店の店舗運営における過去の手法を否定し、小売業経営の根本を見直すきっかけにもなりました。
専門店のマーチャンダイジングの根本的な見直しと販売現場での生産性を上げるための仕組み作りこそ、今専門店が取り組むべき課題だと考えます。
今回で19回目となるJSA大賞ディスプレイコンテストは、昨年、一昨年とコロナ禍の影響を受けての開催となったのにも関わらず多くの応募がありましたが、今回はさらにそれらを超える数多くの応募があり、かつ新たに参加された企業や団体も少なくない状況でした。コロナ禍の中にあって各企業・店舗が売場でのビジュアルプレゼンテーションの重要性を感じ、従来の手法に頼らない販売の仕組み作りに取り組もうとしている気概が感じられました。
また数年に及ぶWithコロナ下のおいて様々な課題を乗り越えての応募とあって、皆レベルの高いディスプレイも多く、ここ数年と比較しても最も高レベルなのではないかというのが審査員の皆さんの共通した感想でした。
当コンテストをきっかけに会社を上げてプレゼンテーションのレベルアップを図ろうとする企業、改めてプレゼンテーションの大事さに気付いた企業、また学生の皆さんの参加も増えました。密になることでお客さまに敬遠されがちな従来の接客に代わる販売手段として、ディスプレイやPOP等ビジュアルでの情報提供を重視している事の表れだと評価しています。
ひと目で自店の品揃えの特徴や商品情報を理解してもらえるビジュアルなプレゼンテーション(陳列の工夫、ディスプレイやPOP等)は、これからも特に重要な分野だと思います。
接客だけに頼らずにお店が伝えたいことを表現するには、主に3つの方法があります。
一つ目はVMDの仕組みを使うことです。
二つ目はWEBを中心とした、様々な情報提供ツールの活用です。
三つ目はスタッフ個人によるSNSなどへの取り組みです。
どれもみな大切な要素です。VMDの活用は今ある仕組みの中で、ちょっとした発想を変えるだけで今日からでも始められることが沢山あります。
そのVMDに対する社内の意識改革のツールとして、このディスプレイコンテストを活用して欲しいのです。コンテストをきっかけに社内でプレゼンテーションの重要性と効果的な方法論について話題にして欲しいのです。
そういう意味でも今年度復活する実務者研修では、従来のVMD一辺倒ではなく、MDの体系化や実店舗とECの融合(=OMO)を実現するための手順を学ぶものにしたいと考えています。
今年も受賞作以外のディスプレイにも、ご希望があればフィードバックコメントによる具体的なアドバイスを差し上げたいと思っていますので、是非ご活用ください。
※研修及びフィードバックにつての詳細は後日協会よりご案内させて頂きます。
2022年受賞作品

大賞 銀座マギー マギーマギー自由ヶ丘メルサ店
迫力を感じるウインドウディスプレイです。製作意図にもあるW杯でのPK戦を彷彿とさせる表現になっています。ウィンドウの四辺から中央に向かって進むラインがゴールに迫るボールの軌跡を感じさせ、カッティングシートを貼っただけの装飾ですが、話題性もうまく取り入れスピード感と力強さを十二分に表現できていて、道行く人全員が目を止め足を止めること間違いなしです。 多くのコストを掛けなくても、ち密な計画とデザインの基にきめ細かな作業の賜物だと、審査員一同とても感心しました。お客さまの目を引きつけ、自店の持ち味を訴求するプレゼンテーションとしてはベストの出来です。

優秀賞 ドンク 日本橋ジョアン店
売場の中で象徴的なスペースとしてお客さまの目を引き付ける役目を十分に果たしています。 特に遠目からのアイキャッチャーとして、高さのある演出はとても効果的です。 クリスマスツリーを敢えてよく見るグリーンにせず、茶系にしたことで周囲のパンとの色的な調和も感じられ、かつベーカリーとしてのアイデンティティも表現されています。 また全体を淡い茶系で統一したことで、ブランドの持つ上質さと洗練されたイメージも維持されているように思いました。 ポスターやパッケージのシールの赤が、アクセントとしてうまく機能しています。

コーディネート賞 メーカーズシャツ鎌倉 アキバ・トリム店
商品自体の訴求ではなく自店の品揃えトータルなイメージの表現が実現できています。 左右のボディだけでなく、間に吊されたバーに掛けたアイテムのセレクトもどれも鎌倉シャツらしい色使いとコーディネートで、バラエティさと楽しさも感じられます。ウインドウを見るだけで店内の商品一つ一つが想像できるような演出です。 そのバーと吊っているベルトの素材感や色調も、鎌倉シャツの上質なクラシックというコンセプトにマッチする演出小物として大いに役立っています。

スペースバランス賞 サザビーリーグ アフタヌーンティー・リビング豊田T-FACE店
小さなものが多い様々なアイテムをバランスよく配置するだけでなく、遠目からも目を引くために全体としてのまとまり感を表現することが一番の課題です。その二つのテーマをうまく解決している作品としては、今回の応募作の中ではベストの出来映えでした。 食器類をブルーと白に統一し、アクセントカラーとして背景の本の中のパンとリボンのイエローの使い方が上手いです。 また一般的に難しいとされる食器と食品のコーディネートを、後ろに立てた本の中の写真をうまく活用したのは秀逸なアイデアです。またプレイトタワーの高さをうまく使っていますし、中央のガラス器やティーセットの配置も左右対称を基本にし、本の写真、フォークやカヌレでアクセントを付けて、絶妙のバランスが完成しています。

カラーハーモニー賞 エムズサンシン grass roots MOMOテラス店
ややもすると全体がバラバラな印象になりがちな服飾雑貨(ここではマフラー)のカラーバリエーションですが、他の陳列アイテムの色調をジーンズショップという自店のアイデンティティであるデニムカラー(=ブルーの濃淡)に絞り込んだことで、マフラーの多彩な色が全体のアクセントになっていて逆にメインディスプレイのアイキャッチャーとしての効果を高めているように思います。 加えてテーブルに積んであるオリジナルのブルーのギフトボックスも「このボックスならギフトにしてみたい」と思わせるツールとして効果大です。

入賞 イワキ イワキメガネ広尾プラザ店
訴求商品の持つキラキラとしたイメージを、夜空を背景に神秘的に表現しています。 特に暗い背景を活かすメタリックなオブジェと透明感のあるアイテムとのマッチングは素晴らしいと審査員の皆も感心しました。 小さなアイテムの陳列も、乱雑にならず、と言って寂しくもなく、数量も配置のバランスのセンスも絶妙。 スポットライトを訴求商品にしっかりと当てて、商品をクローズアップできていればなお良かったかと思います。

入賞 銀座マギー OS Of STYLEウイング上大岡店
白とピンクのカラーコーディネートがこの店のターゲットやファッションテイストを的確に表現しています。ワイヤーで手作りした観覧車も、完成度が高く質感もあって商品のグレードにマッチしているように見えます。浮かんだピンクのバルーンの配置もバランスが良く、動きも感じられて楽しさが伝わって来ます。 強いて言えば、気球の形ではなくシンプルな風船にした方がよりカジュアル感があってよかったのではないでしょうか?

入賞 クレイン ヴィーナスティアーズイオンモール直方店
アニマルモチーフのミニチュアジュエリーを使ったかわいらしいディスプレイは、クリスマスの季節感を醸し出しているだけではなく、自店のコンセプトを的確に表現していて訴求力のあるプレゼンテーションになっています。特に白い雪をベースにレッドカーペットがアクセントとして高い効果を発揮しています。 あえて言えば、よりこのディスプレイの視認性を高めるためにも、ショーケースの上の演出を工夫しましょう。大型のPOPや大きめのツリー等の装飾物を使って目を引きましょう。

入賞 静岡デザイン専門学校 購買部
今回初参加の学生さんたちの応募作です。アパレルの大量廃棄を問題として取り上げ、古着を活用したクリスマスディスプレイをお店のウインドウに表現してくれました。 古着と感じさせずに、楽しい演出に変身させたアイデアとしっかりとした造形技術は、学生の域を超えたレベルの高さを感じました。 惜しむは、今計画のベースになった課題(サンタクロースが古着を循環してプレゼントへ)についてのメッセージを、文字にして表現してもらえたら、もっと意義のあるものになったのではないでしょうか?

入賞 生活の木 福山天満屋店
ブルーベースに熊のイラストのパネルが遠目からのアイキャッチャーとしての役割を十分に果たしています。商品だけでは目立たない小さなアイテムを訴求するには、商品以外のオブジェやグラフィックで目を引くのが効果的。パネルの色とパッケージや袋のリボンの色を統一したのもインパクト演出です。 ただ商品説明のショーカードの文字がやや小さ過ぎて読めないかもしれません。

入賞 田中興産 Luxe armoire caprice新宿髙島屋店
ニットとアウター、バッグ、後方のラックにかけてあるトップスの色を鮮やかなライトグリーンに統一して、コーナー全体のまとまりを感じさせる、きめ細かなディスプレイプランには感心しました。 製作意図にあるパリの街角のお洒落なカフェというイメージを十分感じられるディスプレイです。 クリスマスツリーのオーナメントが若干ゴージャスな印象です。もう少しカジュアルなイメージのものにした方が商品のイメージにもマッチするのではないでしょぅか?

入賞 壷屋総本店 イオンモール旭川永山店
イエローに絞り込んだことが最大の成功ポイント。 また対象商品を、ひとつの単品だけに集中して陳列したことが店頭でのよりインパクトのあるものにしています。サルのぬいぐるみや、南国の植物などの装飾物も効果的に活用されています。 テーブル下のPOPはお客さまの視線の下になるため、目に止めて頂けないのでは?

入賞 ドレスメーカー学院 購買部
真夜中の工場でサンタクロースがミシンで子供たちへのプレゼントを作っているというストーリーが面白い。ビジュアル的にも白いミシンと小さなサンタクロースたちの赤とのコントラストが効いてとても素晴らしい作品になっています。 転がっているギフトボックスが、サンタクロースを心待ちにしている子供たちのワクワク感を最大限に表現しています。アイロンや霧吹きの金属イメージが演出ストーリーを支えています。

入賞 ホットマン 富山大和店
秋のカラーで統一されたインパクトのあるディスプレイです。バスケットや枯葉のオブジェも商品の色調に合せたことで、とてもまとまりのある目を引くプレゼンテーションが出来ました。 注視ポイントにするために高さを出したハンガースタンドの3点掛けを中心に、左右の商品量のバランスを考えた陳列は、計画のきめ細かさを感じさせます。 右端のスタンドPOPがやや小さすぎるので、フェアトレードの説明がテーブル前のお客さまには読めないのではないでしょうか?読ませたいPOPは、設置したら1mほど離れたところからどう見えるかを再確認しましょう。

入賞 ワシントン靴店 銀座ワシントン横浜ポルタ店
赤い敷布の上に陳列された靴の白がとてもインパクトのあるコーナーを作り上げています。陳列商品の色を絞り込むことで、デザインのバリエーションが際立っています。 欲を言えば、バッグプ+シューズのコーディネート陳列は最上段に集約して、下段にはシンプルに靴のバリエーションを見せる構成にした方がより訴求力が上がると思います。