特集

2019年 第16回ショップスタッフディスプレイコンテスト(2019年秋~冬・新春)

2019年 総評[審査委員長 空間プロデューサー 椎野伝一氏]
16回目となったJSA大賞ディスプレイコンテスト、今回は昨年にも増してレベルの高いディスプレイが数多く集まり、ここ数年と比較しても一番ではないかというのが審査員の皆さんの共通した感想でした。 全体を通して見ても、ファッショントレンドを上手に取り入れ、洗練されたコーディネートのものが多く見られ、以前のようにただ商品を置いてあるだけというものは皆無になりました。 しかし一方で、自店のテイストや品揃えのコンセプト、狙っている客層といった店の主張を的確に表現するという点では、やや不満が残る結果でもありました。 また今回は非会員企業も含め新規の参加店も増えており、ショップでのプレゼンテーションへの関心の高まりも感じました。 そこでよりディスプレイやPOP、商品陳列などショップ内でのプレゼンテーションの本当の意味と、お客様の目を引き購買への動機づけという従来の販促策以上の役割について話をしたいと思います。 ショップスタッフの皆さんは「ディスプレイした商品が売れる」だけで満足していませんか。 ディスプレイすれば、ただ陳列している物より売れるのは誰にでも理解できます。 しかしディスプレイ本来の役割とは、ディスプレイの方法や演出、コーディネートを変えたら、 ①入店客数が増えた。 ②店全体の売上が上がった。 ③売場の死に筋が減り、商品の回転率が上がった。 ④プロパーで消化率がアップした。 ⑤狙い通りの客層が入店するようになった などの効果を実現するものなのです。 それにはディスプレイが、ショップコンセプトや商品計画、販売計画など、自店の戦略や主張に基づいたものであることが必要です。 ディスプレイに本来の役割を果たさせるためには、 ①自店の主力商品は? ②ライバルとの差別化ポイントはどんな点? ③主力となるのはどんなお客さま? ④自店のスタイリングの特徴は? ⑤自店が提供するライフスタイルのタイプは? などをディスプレイの計画に盛り込まなくてはなりません。 またディスプレイは売るための仕掛けです。ディスプレイ商品は普通に陳列された商品に比べて、お客さまの目立つスペースにあり注目を引くので何倍も速く売れます。だからディスプレイしようとする商品は予め在庫を増やすか、追加ができるように準備をして、販売チャンスを逃さないようにすることが大切です。でなければ単に早く売り切れたというだけで、全体の売上増に貢献できたことにはなりません。 このように考えるとディスプレイやPOPなど売場におけるプレゼンテーションは、人の力に頼らずに自店の様々な主張や品揃えコンセプト、商品の特徴などをお客さまに伝えるのに極めて有効なツールと言えまるのです。それは近年の課題である人不足への対応にも役立つはずです。(=ディスプレイやPOPは第二の販売員。) また従来人の仕事だったお客さまへの様々な情報提供業務が、売場作りやディスプレイで可能ならば、スタッフの作業量軽減にもなり、結果として本来の接客そのものに集中できることにもなるのです。
2019年受賞作品

大賞 本沢屋 おやまゆうえんハーヴェストウォーク店
子供服のプレゼンテーションにふさわしく、可愛らしさいっぱいのディスプレイになりました。 センターのテーブルにセットしたギフトボックスを積み上げたオブジェがまるでクリスマスケーキを想像させ、ウインドウの前を通る多くの子供達の目を引き付けることができるでしょう。 ボディの顔に付けたマスクも興味をそそるものになっています。全体の色目をややくすんだものに統一したことも、赤や緑などのビビッドな色が氾濫するクリスマスシーズンでの他店との差別化に貢献しているのではないでしょうか。

優秀賞 イワキ 池袋パルコ店
ブランドの持つフレンチテイストの小粋なイメージを最大限に引き出したディスプレイ。眼鏡を置いたベースや周囲にたくさんころがっている小さなボールや奥のボックスに至るまでの、淡い色合いとふわふわした素材感の統一が商品の印象をより際立たせています。あえてリアルなクリスマスツリーにしなかったのもブランドイメージを表現することに成功しています。 クリスマス演出でありがちな、赤×緑×ゴールドという色使いを再考する時かもしれません。

優秀賞 スミノ ポートランド港南台店
多くの店では忘れられがちな柱周りの棚上部をうまく活用した好例です。ここは店頭からも良く目に入るスペースなので、アイキャッチャ―として使いこなせれば入店促進の武器になります。 なんといってもカラーの主張が明確なことがプレゼンテーション効果を引き出しています。シャツのチェックの色まで含めた商品だけでなく、背景の演出物やギフト袋に至るまでカラーコントロールが徹底されているので、遠目からのアテンションが期待できます。

ライフスタイル賞 豊田まちづくり 私の部屋
まさしく新春の食卓風景が想像できるようなプレゼンテーションになっています。 お正月らしい梅の枝飾りがアイキャッチャ―として活かされています。雑貨類は比較的小さな商品が多いので遠目からはよく目にはいりません。このような目を引く演出物は効果大です。 また中央の黄色の皿がアクセントとして、ディスプレイ全体の印象を引き締めています。

MD賞 ドンク 上六近鉄店
ワンアイテムに絞り込み圧倒的なボリューム感を演出する方法はスーパーマーケットなどではよく見られるが、比較的小さな商品が多いベーカリーではと考えるととても印象に残りました。自店の商品に確固たる自信がなければできないことだと感心しました。 ディスプレイ商品の訴求だけでなく、このコーナー自体が売場のアイキャッチャーとしての役割を果たしています。またパッケージのデザインや積み上げ方もうまくできています。

コーディネイト賞 ナカガワ GIZA-GIZA
ほのぼのとしたファミリーでのお出かけというシーンが的確に表現されています。お父さんと男の子、お母さんと女の子というセットで、アイテムやカラーだけでなく着こなしまでコーディネートされていて、このディスプレイを実施したお店のスタッフのきめ細かな気遣いが感じられるステージが完成されています。あえて周囲のクリスマス装飾に派手な色を使わなかったのも、商品自体の訴求に効果的を発揮しています。

色彩賞 ホットマン 富山大和店
タオルのプレゼンテーションにありがちなカラフルな訴求ではなく、あえて白×ピンクの2色に絞ったことで、かえって遠目からのアイキャッチャ―として効果的なものになりました。 加えて色の主張を抑えたことで、商品の高級感や品質の確かさを印象付けるものになっています。お店のスタッフ自店の商品に対する自信と信頼があふれ出て来るようなディスプレイです。丁寧なタオルの畳み方や積み上げ方などきめ細かな気遣いも好印象です。

ストーリー賞 山野楽器 山野ミュージックサロン新浦安
バイオリンをクリスマスディナーの一皿に見立てた演出は、とてもオリジナリティが感じられ通りがかりのお客さまの目を引くことは間違いないでしょう。楽器以外の色を赤と白に統一したことで楽器自体が際立つ効果が見られました。 テーブルセッティング自体を手抜きせずリアルに再現したことで、ディスプレイそのもののクオリティも向上してさせています。

入賞 かねまつ 新宿小田急店
赤と黒にゴールドというオーソドックスな色使いが、老舗ブランドの確かさを感じさせます。 全体を三角形にまとめた構成も、落ち着いた高級感を表現できています。靴・バッグともアイテムを絞り、カラーバリエーションを訴求したことでよりインパクトの強いディスプレイになっています。

入賞 銀座マギー セレオ八王子店
とてもきれいな色使いのコーディネートです。 訴求商品のカラーコーディネートにとどまらず、装飾ツールのカラーも統一したことで、インパクトのあるウインドウディスプレイができました。 また装飾に使ったペーパークラフトが商品の手作り感を顧客に与える効果を果たしています。

入賞 生活の木 高槻松坂屋
パッケージの使い方が秀逸です。 パッケージ自体もきれいでインパクトのあるものですが、積み上げた時の高さや向きを考えて、ディスプレイ全体を見た時の姿をしっかりと描かれた、ち密な計画性が感じられました。 商品を説明したPOPもわかりやすく、販促効果の高いものになっています。

入賞 たまゆら たまゆらアスレ
左右テーブル上の動きのあるマネキンはいやでも目を引き、店頭のアイキャッチャーとしての効果大です。 カラーの統一感とも合わせて店頭を行くお客さまも立ち止まることは間違いないでしょう。 ワンプライスでの訴求になっていて、より販促効果が高いPOPだと思います。

入賞 メーカーズシャツ鎌倉 丸の内店
ビリヤードの持つクラシックで男っぽいイメージが、MDコンセプトであるトラディショナルな雰囲気が醸し出されたディスプレイです。 サスペンダーとカフリンクスやネクタイのきれいなディンプルなどきめ細かな気遣いが、着こなしにこだわる顧客の信頼感につながるのではないでしょうか。

入賞 メルボメンズウェアー 麻布テーラー銀座7th店
注文服という扱い商品の性格上、冬に春のイメージを演出するというのはとても難しいことですが、差別化という点ではメリットもあります。 ネイビーとベージュという春らしい色使いがジャケット×パンツだけでなくネクタイまで徹底されていて、軽やかな新しい季節というイメージが良く伝わってきます。コートハンガーに掛ける手法もオーソドックスなものですが、左のボディとの構成バランスがベストです。

入賞 ライトオン おやまゆうえんハーヴェストウォーク店
まず背景の大きな星とギフトボックスがアイキャッチャ―としての役割を果たしています。 デニムをテーマにした写真をツリーの形にした演出も自店らしさを表現しつつ、ユニークな演出になっています。ウインドウ全体を通してデニムカラーが際立っていることで、自店の性格が的確に見せられています。